12大事件でよむ現代金融入門-書籍レビュー

歴史を通して、今後の危機に備えるための学びが得られる本

1970年代のニクソンショック以降の大きな出来事(新興国危機、リーマンショック、ユーロ危機など)から、金融・投資システムの背景と歴史について解説されている本です。

著者は冒頭で、現在金融を理解するうえで、ニクソンショック以降の金融事象が重要だと述べています。その理由として、「金融セクターの資産や負債が急拡大」、「証券化などの金融技術の発展」を挙げています。それらが現在金融の特徴である「危機発生のインターバルが短くなっていること」と「影響の波及経路がわかりずらくなっている」と指摘しています。読み進めると、それらの中身をより理解することができ、経済の仕組みについても学ぶことができます。今後も起こるであろう金融・経済危機に備えて、どのように視野や洞察力を持つべきなのか、学びを得ることができます。

内容の濃い本ですが、わかりやすい構成と解説があるので、読みやすい良書です。グラフや図も多いので、内容の理解を促します。一方で、グラフや図が示されているとき、出典の記載が少ないため、情報の精度が不明なことがあります。

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 ◆ 得られる知見キーワード

金融の歴史、暴落の要因、金融システムの脆弱点

 ◆ 目次一覧

第1章 ニクソン・ショックの衝撃    -現代経済が“金離れ”したとき
第2章 中南米危機にみる累積債務問題の重石    -原油が世界をかき回す
第3章 プラザ合意の落とし物    -強いドルはアメリカの国益?
第4章 ブラック・マンデーの悪夢    -リスク・マネジメントの始まり
第5章 日本のバブル崩壊による痛手    -邦銀の凋落がはじまった
6章 ポンド危機で突かれた欧州通貨制度の綻び    -ヘッジファンドの台頭と通貨制度の脆弱さ
第7章 P&Gなど事故多発…デリバティブズの挫折    -金融工学の暴走とリーマン危機への伏線
第8章 アジア通貨危機で再び新興国の連鎖破綻    -新興国リスクとドル依存体制の限界
第9章 ITバブル崩壊の狂騒    -「ニュー・エコノミー」という幻想と変貌する金融機関
第10章 リーマン危機に連なる“ゲーム”    -アメリカ型金融モデルの崩壊
第11章 ギリシャ財政不安でユーロ絶体絶命    -ユーロ圏の南北問題と問われつづける共同体理念
第12章 終わらないフラジャイル・ワールド    -次なる震源地はどこだ?

 ◆ 著者プロフィール

倉都 康行氏:RPテック代表取締役、産業ファンド投資法人執行役員、セントラル短資FX株式会社 監査役などを兼務
1955年生まれ。東京銀行で国際資本市場業務に携わり、バンカース・トラスト、チェースマンハッタンのマネージングディレクター、RPテック株式会社を設立。

他書籍:危機の資本システム――世界同時好況と金融暴走リスク (2018)、地政学リスク―――歴史をつくり相場と経済を攪乱する震源の正体(2016)、12大事件でよむ現代金融入門(2014)、金融史の真実: 資本システムの一〇〇〇年 (2014)など多数

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