地域金融のあしたの探り方 -書籍レビュー

 地方金融と地方経済の今後を考えるための本

前半は、地方銀行や信用金庫のことを中心に、社会環境や金融機関の収益性などの観点を丁寧に考察し、必要な経営モデルを模索しています。地域毎の預金額や人口移動、金融機関の預貸ギャップや費用などが分析されています。後半は、地域の経済の現状が分析されています。産業ごとの特徴から重視するべき産業の選び方や、地方の施策について考察されています。

地域ごとの経済力を考えるうえでも、分析の手法を学ぶうえでも、とても参考になる良書です。実データを用いて説明されており、事実性と専門性がある本だと感じられます。

統計や経済の探り方に関心がある方や、地方の今後に関心がある方へおすすめできる本です。一方で、解説が少ないため、統計分析を理解するのは難しく、本に書かれていること以上のことを読み取るのは難しいです。ただし、統計の濃密な本にしては文系でも読みやすい内容になっており、ある程度の理解を深めることができます。

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 ◆ 得られる知見キーワード

地方銀行、地方創生、各地域の経済の測り方

 ◆ 目次一覧

第I部 あしたの地域金融市場の見立て方
1. 人口減少は預貸ギャップを拡大し地方市場を蝕む
2. 社会移動の奔流は急速な市町村格差を促す
第2部 あしたの地域金融機関のつくり方
3. 地域銀行の最終解は合併か独自モデルかの二者択一
4. 信用金庫は個別の多様化とシステムとしての見直し
第3部 あしたの地域経済の育み方
5. 視点を変えた枠組み─ILO産業分類と7つの基本軸
6. アウトバウンドとインバウンドへ資源を振り向けろ─総合戦略策定検証
7. 地方創生に向けた自治体と地域金融機関への宿題

 ◆ 著者プロフィール

大庫直樹氏: ルートエフ株式会社 代表取締役、金融庁 参与、同志社大学 非常勤講師、広島県 特別参与
1962年生まれ。マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社、海外オフィス勤務を経て、パートナーとしてリテールバンキング・プラクティスのリーダー。GEコンシューマー・ファイナンス(株)の執行役員。ルートエフ株式会社を設立、大阪府や市の特別参与、現職

著書:地域金融のあしたの探り方 (2016)、あしたのための銀行学2 (2013)、人口減少時代の自治体経営改革(2013)、あしたのための「銀行学」入門(2009)など

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