イェール大学の最高投資責任者を務め、同大学の基金を大きく成長させたデイビッド・スウェンセン氏の投資スタイルや格言を紹介します。
- イェール大学の投資責任者を務め、大学基金を312億ドルまで拡大させ、私立大学の中で2番目の規模へ成長させた
- 株式や債券だけでなく、投資対象を多様化させ、長年にわたる安定したリターンを獲得した
- その資産管理戦略モデルはイェールモデルと呼ばれ、ハーバード大学やマサチューセッツ工科大学などの多くの大学や機関で参考にされている
- 目次
- 生い立ち
- 投資スタイルとは
- 投資の格言
- もっと詳しく知る方法
デイビッド・スウェンセン氏の生い立ち

デイビッド・スウェンセン氏は1954年にアメリカのアイオワ州エイムズで生まれ、ウィスコンシン州リバーフォールズで育ちました。1975年にウィスコンシン大学リバーフォールズ校を卒業し、イェール大学で経済学の博士号を取得しました。
1980年にソロモン・ブラザーズでアソシエイトとして働き始め、IBMと世界銀行との間で、世界初となる通貨スワップ契約の組成を行いました。ソロモン・ブラザーズでも3年間働きました。
1985年、スウェンセン氏が31歳の時にイェール大学の基金マネージャーに着任します。スウェンセン氏の資産管理の下で大学の基金は平均年12.4%で増え続け、2020年には当初の20倍以上の312億ドルに膨らみました。
2009年にはバラクオバマ大統領の経済回復諮問委員に任命されたほか、大学や研究所、証券取引所などに助言を行いました。また、スウェンセン氏のもとで働いた人々は優秀な投資マネージャーとなり、プリンストン大学やマサチューセッツ工科大学などの資金運用で活躍しています。
がんを患い、長年にわたり闘病していましたが、2021年に67歳で死去しました。
資産分散による安定したリターンを得る投資スタイル

デイビッド・スウェンセン氏の投資アプローチは「イェール モデル」と呼ばれ、資産を株式や債券だけでなく、プライベート・エクイティ、ヘッジ ファンド、不動産などのオルタナティブ投資に投資しました。
多くをオルタナティブ投資することで投資ポートフォリオを多様化し、リスクを軽減する一方、株式や債券ポートフォリオによって高いリターンを生み出すことも目指しています。
彼は十分な調査と分析により、市場を正しく理解することに努め、正しい意思決定プロセスを経て投資を行います。そうして決めた投資計画からは安易に逸脱しないことが重要であると述べています。投資家が規律を持ち、市場の熱狂に捉われないことで、高値と安値を正しく判断する目を養うことができます。 また、流動性は求めるべきものではなく、避けるべき悪いものであるというのが彼の認識でした。
投資の格言
グローバルマクロ投資により、数々のバブルをチャンスに変えてきたポール・チューダー・ジョーンズ氏の格言を紹介します。
- とても合理的な投資家は、コンセンサスに反して行動し、嫌われているものを購入し、流行しているものを売ることによって、長期的なポートフォリオのターゲットをリバランスするという一歩を踏み出します。
出典:デイビッド スエンセン「慣例に従わない成功」 - イェール大学のスターパフォーマーのチームが、政治やポジショニングを避けて、毎日、完全に理解するために聴くことを最大化する、温かさと信頼がある厳密性と客観性を兼ね備えていることに驚くでしょう。
出典:デイビッド スエンセン「慣例に従わない成功」 - 個人投資家の投資実績が悪いもう一つの理由は、個人投資家が間違った行動をとることです。業績の良い株を購入して、高利回りを追い求め、業績が下がると売り払う。すると、高値で買って、高値で売る結果となり、金儲けはできない。
出典:アンソニー・ロビンズ「世界のエリート投資家は何を見て動くのか」 - 分散投資をすれば、どんな利回りでもリスクを下げ、高い利回りを実現できるからです。分散投資こそタダのランチで、よりよいポートフォリオを構築するカギです。
出典:アンソニー・ロビンズ「世界のエリート投資家は何を見て動くのか」 - 投資の世界での最も重要な特質は、個人と機関の区別ではなく、アクティブ運用の専門知識を持たない投資家から、質の高いアクティブ運用の意思決定を行う能力を持つ投資家を区別することです。リスク調整後の超過リターンを生み出すために、能力を発揮し、リソースを投入する機関や個人はほとんどいません。
出典:デイビッド スエンセン「慣例に従わない成功」
デイビッド・スウェンセン氏を詳しく知る方法
デイビッド・スウェンセン氏について更に深く知るための動画や書籍を紹介します。
書籍:イェール大学流投資戦略 低リスク・高リターンを目指すポートフォリオの構築

イェール大学での投資手法について述べられています。資産配分からファンドマネジメント、リスク対策、市場の問題の対処方法等が彼の経験を通して述べられています。投資に対する考え方を知ることができます。
書籍:世界のエリート投資家は何を見て動くのか

アンソニー・ロビンス氏が世界で成功した投資家たちへインタビューした内容が掲載されている書籍です。投資家たちの投資セオリーが述べられています。デイビッド・スエンセン氏のインタビュー記事も掲載されています。「分散投資によるリスク低下」や「個人投資家の間違った行動」などの投資に対する考え方が述べられています。