「ヘッジファンドの帝王」や「ウォール街 最大のトレーダー」と称されるマイケル・スタインハルト氏の格言と投資スタイルを紹介します。
- 無一文から大富豪へ成り上がった億万長者の投資家
- ヘッジファンド「スタインハルト・パートナーズ」の設立者であり、年複利30%以上の収益率を上げた
- 上昇相場も下降相場も乗り切り、大衆と逆の方向を行く逆張り投資手法で知られている
- 目次
- 生い立ち
- 投資スタイルとは
- 投資の格言
- もっと詳しく知る方法
マイケル・スタインハルト氏の生い立ち

スタンハルト氏は1940年にユダヤ移民の子として生まれました。1歳になる前に両親は離婚してしまいます。
少年時代はニューヨークのベンソンハーストで育ちました。父親は博打好きの宝石商であり、1958年に窃盗宝飾品の売買の罪で有罪判決を受けて服役します。
スタンハルト氏は1960年にペンシルベニア大学のウォートンスクールを飛び級で卒業し、証券会社である「Loeb, Rhoades&Co」でアナリストとして働きました。
1967年にはウィリアムサロモンやジャックナッシュとともにヘッジファンド「スタインハルト、ファイン、バーコウィッツ」を設立しました。同社は後の「スタインハルトパートナーズ」となります。同社の成功報酬を除いた年間平均収益は24.5%を記録しました。
そして1990年代前半には3年連続で運用資金は年60%の成長率を記録しました。しかし、1994年に資金は大きく落ち込む事柄が生じました。更にスタンハルト氏は1991年からの短期間の価格操作の疑いで米国証券取引委員会に調査されます。1994年には和解の一環として7000万ドル支払いました。
スタンハルト氏は1995年にファンドを閉鎖して引退しましたが、2004年にはETF投資に焦点を当てた上場資産運用会社「ウィズダムツリーインベストメンツ」の経営を支援し、2019年に取締役会議長を退任しました。
フォーブス誌は2018年時点でのスタンハルト氏の資産は11 億ドルだと報告しています。また、大学や野生生物保護協会への寄付や、ユダヤ人への支援をしています。
投資対象に捉われない投資スタイルとは

マイケル・スタインハルト氏の投資スタイルは、短期投資や長期投資に捉われず、株式や債券、通貨などのあらゆる金融資産を投資対象にしています。全体的なマクロ投資だけでなく、個別株式からも利益を得ました。彼の特質は投資すべき機を捉え、投資範囲を固定せず、順応性があるとともいえます。
彼は徹底的な分析の上で自分のアイデアに従うという信念と、間違いが起こったとき、なぜ間違えたのかを認識する柔軟性を持っていました。
マイケル・スタインハルト氏の具体的な投資アプローチは、ファンダメンタル分析とテクニカル分析の組み合わせといえます。株式や債券、為替などのあらゆる金融資産に対して本質的な価格を分析して、市場の誤った価格と本来の価値の差から収益を得ています。また、過小評価された金融資産に対して大きく賭けて大きな儲けを得ました。
それは大衆が信じる通説やトレンドに逆らい、市場が避けている資産を購入する逆張り投資スタイルでも知られています。
投資の格言
多くの成功を成し遂げてきたマイケル・スタイン氏の格言を紹介します。
- 生涯を通じて、自分の財産のほとんどはいつも自分が運用するファンドに投資していたし、今でも同じようにしない運用者にはけっして資金を預けないことにしている。
出典:マイケル・スタインハルト「ヘッジファンドの帝王」 - 株式市場は正確ではない。ときには素人の意見もプロのそれと同じように価値あるものになる。
出典:マイケル・スタインハルト「ヘッジファンドの帝王」 - トレードの世界には、その正否はさておき、格言のようなものがあるが、それらに従ったことはない。~ 相場でカネを稼ぐというのが私の姿勢だから、危険な道へも喜んで踏み込む。
出典:ジャック・D. シュワッガー「マーケットの魔術師」 - マーケットが何を期待しているのかを知ることは、基本的な知識と同じように大切だ。だが、ときとして、マーケットの理解が基本的な知識と異なることもあり得るのだ。
出典:マイケル・スタインハルト「ヘッジファンドの帝王」 - 成功のための方法を定式化できると思ったら大間違いでしょう。すぐに変わってしまうものである。
出典:ジャック・D. シュワッガー「マーケットの魔術師」 - 良いトレードとは、自分のアイデアを追い続けていく信念と間違いを認める柔軟性の間の微妙なバランスで成り立っている。何かを信じる必要があるけれども、同時に多くの間違いを犯すものである。
出典:ジャック・D. シュワッガー「マーケットの魔術師」 - この仕事の魅力のひとつは、時にまったく愚かな者が成功することがあることだ。
出典:ジャック・D. シュワッガー「マーケットの魔術師」
マイケル・スタインハルト氏を詳しく知る方法
マイケル・スタイン氏について更に深く知るための書籍を紹介します。
書籍:ヘッジファンドの帝王 ウォール街を勝ち上がった男の光と影

マイケル・スタインハルト氏自身が執筆した自伝です。
無一文であった少年がいかに大富豪に出世したのかを知ることができる本です。彼の投資スタイルが形成されるに至った重大なイベントや重大な決断、1994年の失敗が語られています。彼の人生観や独創的な考え方、豪胆さな性格を知るのに適した書籍です。父親に対する精神的な葛藤とともに、彼の人生へも影響を与えてきたことが伺い知れます。その中で、いくつかの投資戦略が解説されています。彼のトレーディング手法や、どのように投資経験を積み重ねてきたのかが述べられています。彼の情熱的な探求心には感心することでしょう。
書籍:マーケットの魔術師

本書籍はアメリカのトップトレーダー16人のインタビュー記事がまとめられています。マイケル・スタインハルト氏のインタビュー記事もあります。「チャートを見ても何もならない」や「すべての偉大な投資家は真実の探求者だ」などの投資に対する考え方や投資手法が述べられています。
世界の投資家名鑑 - 無一文から大富豪へ成り上がったマイケル・スタインハルト氏の投資手法や格言