片山晃氏は日本でも最も有名な個人投資家の一人です。
「ネトゲ廃人から資産140億投資家へ」というキャッチフレーズを持ち、物語性の高い投資家人生を歩んでいます。
多くの個人投資家が憧れを抱くカリスマ的な存在ですね。どうして彼はそれほどまでにトレーダーを魅了するのでしょうか。
本記事では片山晃氏の投資手法や略歴、名言などを詳しく解説していきます。
- 65万円の元手で始めた個人株式投資で140億円の資産を築く
- 五月(ごがつ)のハンドルネームでも知られ、長期投資、特に小型株で収益を上げた
- 目次
- 投資手法と実績
- 投資の格言
- 周りの評価
- もっと詳しく知る方法
片山晃氏の投資手法と実績

五月(ごがつ)のハンドルネームでも知られ、65万円の元手で始めた個人株式投資で140億円の資産を築きました。未上場のベンチャー企業投資、ヘッジファンドの事業を開始しています。
片山晃氏が億万投資家になっていく過程には、いくつかのターニングポイントがあります。 ピックアップしてお伝えしていきましょう。
片山晃氏の略歴
ネトゲ廃人時代
片山晃氏は高校卒業後、ゲーム関連の専門学校に入学したものの1年で中退。
その後は自宅で引きこもり状態となり4年間オンラインゲームに没頭します。
ゲームの世界でトップに立ちたいという思いが彼を突き動かし、オンラインゲームの世界では「神」と呼ばれる存在に。
しかし、ゲームの世界で頂点を極めたとしてもそこにあるのは単なる「自己満足」に過ぎないことに気づき、空虚感が彼の心を支配し始めました。
そんななか、偶然出会ったのが株式投資の世界。
長瀬智也さん主演のテレビドラマ「ビッグマネー」を見て「こんな面白い世界があったのか!」と感化され、種銭稼ぎのためにすぐにバイトの面接に行ったそうです。
片山氏のように成功した投資家ですら、昔はネトゲ廃人だったという事実。
「こんな俺でも巨万の富を稼げるかもしれない・・」という多くの個人投資家の共感を集めました。
リーマンショックがきっかけで専業投資家へ
片山氏が専業投資家を志したきっかけはリーマンショックでした。
リーマンショックが起こる前は株式投資でうまくいかなければ、普通に働けばいいと楽観的に考えていたそうです。
ですが突然やってきた未曾有の大不況により、真面目に働いてきた多くの人が失業していく光景を見て、自分には株以外ないのだと、退路を絶ったのです。
デイトレから長期投資への切り替え
大きく稼げるようになった転換点は、デイトレ主体のトレードからファンダメンタル分析中心の長期投資への切り替えでした。 株を始めた当初はよくわからないままデイトレードを始めたものの、何とか勝てていた片山氏。 ですが資産1,000万円を超えたあたりから資産が増えず伸び悩みます。
今後の戦い方に思考を凝らした結果、行き着いたのが割安株への長期投資。
もともと決算短信などの業績や会社四季報、日経新聞を読むことが好きだったこともあり、長期投資に活路を見出しました。 次に大きく資産を増やした片山晃氏の投資手法を見ていきましょう。
片山晃氏の投資手法とその結果
個人投資家といえばデイトレやスキャルピングなどの短期トレードで財を成すことが主流です。
ですが片山氏がネトゲ廃人から資産140億を達成できたきっかけは、長期投資によるものでした。 長期投資でも、特に小型株へ的をしぼって資産を爆発的に増やしていきます。
小型成長株への集中投資
片山晃氏の投資手法は、一般的にはバリュー株投資と呼ばれるものです。
しかし単なるバリュー株投資ではなく、小型の成長株に絞ったバリュー株投資になります。
小松原周氏との共著「勝つ投資 負けない投資」の中で、自身の投資手法を「小型の成長株がその頭角を現し始める初動を捉えて集中的に投資をするもの」と明言しています。
情報が限られ値動きの変動も激しい小型株への投資こそが、個人投資家のフットワークの軽さを最大限活かし、機関投資家にも勝ることができると片山氏は考えました。
特定の製品やサービスに特化していることが多い小型株は、世の中のトレンドに乗ると業績や評判が一気に上昇します。
時代の変化を予測して先取りして投資することがとても重要なのですね。
それでは、大きく値上がりをする小型株を見極めるにはどうするのか。
片山氏は具体的に
・適時開示情報に目を通し、最新の決算が出たときの「変化」に着目する
・EPS(一株あたり利益)を重視して銘柄を選定
という2つの方法を使っていました。
適時開示情報と業績回復スピード
あらゆる銘柄の適時開示情報を読み込むことで、ある銘柄の決算がネガティブなのかポジティブなのかをいうところを把握することができます。
そもそもすべての適時開示情報を読み込める人なんてそうそういないので、優位性を保つことができたといいます。
また、成長する株とそうでない株との違いは単純に「業績回復スピードの差」であるということに着目。
利益が急回復した銘柄は株価も大きく上昇したが、業績が低く推移している銘柄は株価も上がらないという結論に達します。
EPSの成長
その経験から、EPSの成長に目を配ることになります。
片山氏にとっての割安株とは、EPSに対して割安かどうかということ。
銘柄が将来実現するであろうEPSに対して現在の株価が割安なのかどうかを判断することで、成長株に投資をしているのです。
そして片山氏の真骨頂といえば、1銘柄への一点突破投資。
2014年11月、日本ライフラインの大量保有報告書に片山晃氏の名前が登場したときは話題になりました。
YoutubeのZeppy投資ちゃんねるの中のインタビューで片山氏は 「日本ライフラインは片山氏が今まで株式投資をしてきた上で得た気づきや儲かる要素が全て入っていた」と語っています。
そして予想は見事に当たり、資産が10億円から130億円にまで膨れ上がったのです。
最も大事なことは、ひとえに「変化」に着目し、想像力を働かせること。
iPhoneやパズドラが発売されたとき、今日の状況を把握できたか。 未来を予測する想像力こそが投資に必要な能力だと片山氏は説きます
投資の格言
代表的な格言として「投資の経験が蓄積されていくと、「これは上がるぞ」という銘柄に出会ったときの”握力”が強くなる」という言葉があります。投資の経験を積み重ねることによって、全く同じ相場は存在しないものの、似たような相場が何度も繰り返されていることを感じ取れるようになるとのこと。
全く違う産業の別銘柄でも直感的にこの銘柄は上がる!という感覚を持てるようになるといいます。
経験を積んで、自信をつけていくことが大事ですね。
以下には、他の様々な片山晃氏の格言を紹介します。
- なぜ低PBRの株では大きく儲からないのか。その理由は、そこに変化が起きないからです。~大事なポイントは、そのPERが将来どのように変わっていくかということです。
出典:片山晃「勝つ投資 負けない投資」 - 「信じることは疑うことをやめること」。~投資においては疑うことをやめた瞬間に大損へのカウントダウンが始まっています。
出典:片山晃「勝つ投資 負けない投資」 - 「この株価で買っておけばいつか上がるだろう」という考え方も否定はしませんが、「勝つ投資」を目指す上ではご法度です。
出典:片山晃「勝つ投資 負けない投資」 - 僕がやっていたのは、カジノのチップのように小さなリスクでの勝ち額を積み上げて、ここぞという時にそれをオール・インするというやり方です。
出典:片山晃「勝つ投資 負けない投資」 - 僕は買値からいくら下がったから売るという機械的なルールは設けていません。
出典:片山晃「勝つ投資 負けない投資」
片山晃氏の評判
片山晃氏は2013年にレオス・キャピタルワークスに機関投資家として働いていた経験があります。
レオスといえば、「ひふみ投信」でおなじみ。
ファンドマネージャーの藤野英人氏が代表を務める日本で最も勢いのあるアクティブファンドです。 藤野氏は片山氏のことを、今後日本一の投資家になっていくかもしれないと高く評価しています。
お金を稼いでも高級車の購入などの贅沢な買い物をせず質素に暮らしている片山氏。
質素倹約をしながら1円でも多く再投資をすることが大事であることをわかっている貴重な人材だとして賞賛しています。
まとめ
もはや個人投資家の枠に留まらず、様々な事業を展開している片山氏。
彼の根底にあるのは、株式投資に対する愛ではないでしょうか。
世間にはたくさんの金融商品がありますが、片山氏はFXにも仮想通貨にも手を出さず、株式投資一本のスタイルを貫いています。
いうまでもなく、企業の業績を作り上げるのは働いている人。
片山氏は株式投資を通じて、世界を変えることにチャレンジしている人間に投資をしているのだと言えるでしょう。
人に対する熱い思いがこもった株式投資を愛しているからこそ、一点集中のような投資ができるのかもしれません。