世界の投資家やリーダーの思想や理念 - 世間を震撼させた村上ファンドの代表、村上世彰氏の投資手法とは?

かつて元ライブドア社長・堀江貴文氏とともに、世間を震撼させた村上ファンドの代表、村上世彰氏。
後にインサイダー取引で逮捕されてしまい、ネガティブなイメージがつきまとう村上世彰氏ですが、「モノ言う株主」という単語が独り歩きしたままいつまでもきちんとした評価をされていないのではないかと感じています。
そこでこの記事では、村上世彰氏の投資手法や略歴、本人の言葉をもとに、現在の村上世彰氏の活動について徹底的に解説していきます。
村上世彰氏とは ~ 略歴 ~
村上世彰氏は大阪出身で、灘中・高を経て東大法学部に入学。
東大を卒業後は通産省(現在の経済産業省)に入省し、約16年間国家公務員として勤務します。
コーポレート・ガバナンスの浸透と徹底を理念に掲げ、それが日本経済の発展に繋がっていくという考えを持ちながら高級官僚として働いていました。
ですが官僚としての立場から市場を変えていくことに限界を感じ、投資家になりプレイヤーとして自分の思いを実現させていくことを決意します。
ライブドアやニッポン放送、阪神電鉄などの買収に携り一躍脚光を浴びたのは2005年。
フジテレビがニッポン放送の子会社になっているという誰がどう見てもいびつな構造に目をつけたライブドアによる敵対的買収は、歴史に名を残す大事件として知られていますね。
ライブドアから情報を得てニッポン放送株を買っていたという疑惑によるインサイダー取引により逮捕され、2011年に懲役2年・執行猶予3年の刑が確定します。
村上世彰氏はその後シンガポールに移住し、ファンドマネージャーを引退しました。
再び表舞台に登場するのは2013年頃。
村上世彰氏の個人資産の運用会社という名目でC&I Holdingsという投資会社を設立しました。
投資先の黒田電気に対して、臨時株主総会招集の請求を行うなど、物言う株主として徐々に復帰を果たしています。
村上世彰氏の復帰は週刊誌でも紙面を割かれて少し話題になりましたね。
しかし、再び相場操縦容疑で村上世彰氏と長女の自宅が強制捜査に入られてしまいます。
疑いは晴れたものの、度重なるストレスが原因で妊娠中の長女の子どもが死産したことから、村上世彰氏はきちんと表舞台に出て自分の考えをきちんと伝えることを決意しました。
現在は著書の出版の他にも、慈善事業や高校生に投資を教えるなどの様々な活動をしています。
村上世彰氏の名言・格言
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父はいつも「上がり始めたら買え。下がり始めたら売れ。一番安いところで買ったり、一番高いところで売れるものだと思うな」と言っていた。まさにその通りだった。
村上世彰氏は投資家の父からの影響を多分に受けています。
受けた教育も非常にユニークで、小学生の頃から100万円を運用して株式投資をしたり、父の仕事に同行して様々な投資先を見てきました。
東大を卒業して通産省に入ったのも「官僚になって国家というのも勉強しなさい」という教えがあってこそ。
これほど忠実に父の指示に従う子供というのも珍しいですが、それほど尊敬していたということでしょう。
ちなみに東大在学中から、港区高輪にあるペアシティルネサンスという高級マンションから大学に通っていたそうです。
東大生は裕福な家庭の学生が多いですが、その中でも規格外にリッチですよね。
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村上世彰氏の投資手法と実績
「私の投資は徹底したバリュー投資であり、保有している資産に比して時価総額が低い企業に投資する、という極めてシンプルなものだ。」
と本人は著書「生涯投資家」の中で語っています。
村上世彰氏の投資手法のキーワードとなるのは
・ 期待値
・ IRR
・ リスク査定
の3つです。
「期待値」の高い商品へ投資
割安に評価されていて、リスク度合いに比して高い利益が見込める「期待値」の高い商品に投資します。
自分独自の期待値を設定していて、この期待値が1.0を超えたものにのみ投資をすると決めているそうです。
ちなみに宝くじは「0.3」、公営ギャンブルは「0.75」、カジノは「0.9」になるため、村上世彰氏は手を出しません。
IRRが15%以上
IRR(内部収益率)が15%以上であることも重要。
IRRは投資に対するリターンを表す指標ですが、村上世彰氏は資金循環がお金を生み出す原動力と考えていて、資金循環を期待できる案件に投資をしていくという考えによるものですね。
リスク査定
最後にリスク査定ですが、これは数字や指標よりも、経営者やビジネスパートナーの性格や特徴を掴んで、逆境に立った時に冷静な議論ができる相手かどうかを深堀りして人となりを判断します。
期待値・IRR・リスク査定によって、投資するかどうかの最終的な判断をすると村上世彰氏は語っています。
まとめ
「モノいう株主」として名を馳せた村上世彰氏もいまや61歳。
現在はN高等学校の「投資部」特別顧問に就任し、実際に高校生に資金を渡して運用させるなどの面白い実験をしています。
かつて村上世彰氏自身が父に受けた教育と同じように、後進の子どもたちに投資を伝えたいと思っているのでしょう。
自身の娘もファンドマネジャーとして活躍していますし、投資家だけでなく教育者としての才能もあるのではないでしょうか。
かつて世間を騒がせた一連のネガティブイメージから徐々に本人にとって良い影響力をもち始めている感じがしますね。
今後は投資家としてまっとうな評価をされていくに違いありません。
参考資料
- 村上世彰『生涯投資家』 文春文庫
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