世界の投資家やリーダーの思想や理念 - エンジェル投資家の瀧本哲史の投資眼とは?

瀧本哲史氏はエンジェル投資家として数々の企業に出資を行ってきた人物です。
まだ企画の段階や、紙で事業計画が書かれている段階において投資を決定することもありました。
それは、瀧本哲史氏が、直ぐに物事の本質を捉え、世の中にマッチしているかを判断していたということです。
業界でトップを狙える企業にのみ投資し、創業メンバーの質なども細かく見て判断した上で投資が行われていました。
また、計8冊の著書があり、数多くのベストセラーを生み出しています。「武器としての決断思考」は25万部以上、「戦略がすべて」は10万部以上が出版されており、多くの学生や起業家、社会人に対して影響を与えてきました。
瀧本哲史氏の生涯
瀧本哲史氏は東大法学部へ入学し、ディベートのサークルに入り全国の大学弁論会の統一ルールを作るなど、活動的な大学時代を過ごしました。その後、ディベート甲子園の設立に携わり、全国教室ディベート連盟の理事をはじめとして、事務局長なども歴任しました。
卒業後は、東京大学院法学政治学研究科にて3年間勤め、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社しました。
マッキンゼーを退社後には、コンサルタントの経験を活かして経営状況が非常に厳しかったタクシー会社「日本交通」の再建に取り組みます。
勝間和代氏と(株)監査と分析の設立などの事業経営や、京都大学産官学連携本部イノベーションマネジメントサイエンスの研究部門客員准教授として務めるほか、エンジェル投資家として活動しました。
2019年8月に多くの人に惜しまれながら享年47歳で亡くなりました。
瀧本哲史氏の名言・格言
瀧本哲史氏の格言や名言をいくつか紹介します。
一つ一つの言葉からは瀧本哲史氏の思想や大切にしていることを知る手掛かりになります。
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自信がないのに「他社がやっているから」「上司の命令だから」では勝てません。
自分の頭でしっかり考えて、行動する。
それがコモディティー化の波にのまれない第一歩です。
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マーケットに向き合う。それだけやればいいのです。
小手先に走る必要はなく、感動を与えるサービスを提供すること。
それだけに集中する。それだけで成功できますよ。
瀧本哲史氏の投資手法と実績
瀧本哲史氏はエンジェル投資を主に行い、企業の事業テーマが業界でトップを狙える企業にのみ投資し、創業メンバーの質も深く観察しています。
企業の業績などではなく、「マーケター」の目線で今の消費者の動向に着目した投資を行っていました。
優れたマーケティングの視点によって、今の消費者が何を必要としているのか、今後の社会に何が求められているかに着目し、そのニーズに必要な企業を選ぶことで着実な優良企業を選べることが学べます。
また、本人は『肩書きが3年ごとに変わっているが、本質は「情報を集めて分析して、意思決定するというスタイル」』(「新書サミット」 2014年)だと述べています。
実績やキャリアを見ても、事業や投資を行う上で、重要な情報を収集・分析し、物事の本質を理解した上で意思決定し、人よりも速いスピードで行動をしていることがわかります。
投資例 オトバンク
エンジェル投資段階から参画しました。資本金2億3125万円から、純利益で約1億4500万、純資産は約4億8000万円までに成長を果たしています。(2020年時点)
投資例 atomis
企画段階から出資を決意。シリーズA(アーリーの後半)で3.5億円の資金調達に成功し、その後も数多くの賞を受賞しています。世界的な経済誌であるフォーブスにも掲載され、期待度が年々高まっている企業として有名です。
日本成長投資アライアンスでの出資
共同代表者として参画し、主な成績としては、①「株式会社ポテトかいつか」への出資(のちにカルビー株式会社へ子会社化へ成功) ②「株式会社セフィーヌ」と資本提携などが挙げられます。
大資本と共同で出資総額173億円もの投資を行っており、中堅・中小企業の成長を目指しています。
投資例 Psychic VR Lab
エンジェル投資として出資しています。STYLYというVRショッピングのプラットフォームを展開する企業で、現在では一般への展開も実現しています。また、2018年には全米最大規模のVRコミュニティ「SVVR」の正式メンバーとして参入し、事業を加速させています。
まとめ
エンジェル投資家として様々な企業の初期ステージに投資を行ってきた瀧本哲史氏。
マーケターの視点において、市場や投資先の情報を収集・分析し、業界でトップを狙える企業にのみ投資を行っていました。
今の消費者が何を必要としているのか、今後の社会に何が求められているかに着目し、そのニーズに必要な企業を選ぶことで着実な優良企業を選べることに繋がります。
そして、目先のニュースや企業業績ではなく、物事の本質を捉えることが重要であることを学ぶことができます。
参考資料
- 瀧本哲史『努力が報われること」は絶対にやってはいけない』 Newspicks
https://newspicks.com/news/4144953/body/ - 企業法務革新基盤『瀧本哲史の業績と生涯』
https://lawplatform.co.jp/booksreports/2020/05/_2020630/ - 速水健朗『「僕の本業は、投資家なので実はあまり目立たない方がいいんです。」瀧本哲史さんインタビュー』 ジセダイ
https://ji-sedai.jp/special/kimihitsu/post_1.html - カルビー株式会社『株式会社ポテトかいつかの株式取得(子会社化)に関するお知らせ』
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000378.000030525.html - 株式会社Psychic VR Lab『Psychic VR Lab、シリコンバレーに拠点を置く全米最大規模のVRコミュニティ「SVVR」の正式メンバーとして加盟』
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000030.000023281.html
世界の投資家やリーダーの思想や理念 - エンジェル投資家の瀧本哲史の投資眼とは?