「墓場のダンサー」や「逆張り投資家」として知られるサム・ゼル氏の格言と投資スタイルを紹介します。
- 不動産投資から始め、幅広い業界への投資で大成功を収めた
- 「墓場のダンサー」とも呼ばれ、価値が下がった資産に新たな生命を吹き込む投資を行い、巨万の富を築いた
- 常にリスクを理解しようと努め、需要と供給の観点で、大衆や短期トレンドに流されない投資を行う
- 目次
- 生い立ち
- 投資スタイルとは
- 投資の格言
- もっと詳しく知る方法
サム・ゼル氏の生い立ち

サム・ゼル氏は1941年にアメリカのシカゴで生まれました。両親はポーランドのユダヤ人の移民です。両親はナチスからの迫害を紙一重で潜り抜け、東京経由でアメリカに移住しました。
ゼル氏が12歳のときに家族はイリノイ州ハイランドパークへ移りました。その頃に彼はプレイボーイを2四半期ごとに大量に購入し、1.50ドルから 3ドルで転売していました。ゼル氏はミシガン大学に進み、在学中には不動産ビジネスに参入しました。卒業するまでに不動産事業で15万ドルの利益を上げていました。大規模なアパート開発の契約も獲得しました。
その後、1966 年にミシガン大学法科大学院を修了し、弁護士として1週間働きましたが、自分には向いていないと判断し、不動産事業を開始しました。1968年にはゼル氏はエクイティグループインベストメンツの前身である会社を設立しました。アメリカでは1960 年代後半から1970年代前半にかけての不動産の過剰建設が1973年の市場暴落のきっかけとなりました。商業用不動産の多くのローンが債務不履行に陥り、多くの人々がプロジェクトを放棄します。そこでゼル氏は低価格で高品質の物件を取得する絶好の機会を得ることができました。建物の価値は回復し、巨大な収益を得ることにつながりました。エクイティグループインベストメンツのは巨大な企業へと成長します。
不動産事業だけでなく、ゼル氏のファンドはテレビ局などのラジオ放送グループを所有していたこともあります。リーマンショックの前の2007年にはエクイティオフィスを390億ドルで売却したこともありました。
ゼル氏は現代の不動産投資信託(REIT)の創始者と見なされており、世界最大の上場REITのいくつかを生み出しました。2021年時点でゼル氏の推定資産は 60億ドルとされています。
投資対象に捉われない投資スタイルとは

ゼル氏の投資アプローチは、過小評価されている資産や産業を特定し、その価値を拡大させるための戦略的投資です。当初は不動産に焦点を当てており、多くの成功した投資を行ってきました。そして、メディア、製造、エネルギーなどの様々な分野での投資を成功させてきました。
みんなが左に行くときは右を見ろ
周りの人々の通念に捉われず、他の人が見落としている可能性のある投資機会を特定してきました。彼は「需要と供給」に着目し、入念に調査を行い判断を下してきました。不動産の過剰供給時で人々が不動産を手放そうとする中では安く購入し、長期的に利益を獲得しました。そして不動産投資の過熱したときには供給の過剰性を捉え、価格が落ちる前に資産を売却します。需要と供給の観点から市場を洞察し、どちらかが過剰だと判断したら直ぐに行動をすることが重要です。
リスクの理解
短期的ではなく、長期的な成功を達成するために、リスクを取る洞察力で知られています。失うわけにはいかないものを危険にさらさず、投資に関連するリスクをよく理解し、リスクを軽減または最小限に抑える方法を見つけるために全力をかけます。
サム・ゼル氏の投資の格言
多くの成功を成し遂げてきたサム・ゼル氏の格言を紹介します。
- 平均以上のリターンを上げ続けるためには、人生でも投資でも、リスクを取ることが唯一の方法だと思っている。
出典:逆張り投資家サム・ゼル - 大きな投資案件はときに人を酔わせ、自分の価値を実力以上だと誤解させてしまうことがある。私はそうはなりたくない。
出典:逆張り投資家サム・ゼル - 私にとっての成功とは、道義に基づいたことをすることで手に入れるものだと常に思っている。
出典:逆張り投資家サム・ゼル - いつも情報を探して真剣に観察していれば、欲しい情報は見つけられる。しかし、今日の圧倒的な情報量の中では、大部分を占めるたわ言の中から、意味のあるものを集中して見つけ出さなければならない。
出典:逆張り投資家サム・ゼル - 問題は解決できないと思ったら負けだ。何らかの方法があるという前提に立てば、解決法は大抵見つかるし、そのために想像力が解き放たれる。
出典:逆張り投資家サム・ゼル
サム・ゼル氏を詳しく知る方法
サム・ゼル氏について更に深く知るための書籍を紹介します。
書籍:逆張り投資家サム・ゼル

サム・ゼル氏が執筆した自伝です。 彼の生い立ちと歩んできたビジネスの世界を巡りながら、成功談とともに失敗談も語られています。ゼル氏の投資哲学やビジネスのアプローチを知ることができます。