市場の矛盾から莫大な利益を得た投資家とは? ジョージ・ソロスの投資手法と格言 – 株式投資

ハンガリー出身の投資家、ジョージ・ソロスはウォーレン・バフェット氏、ジム・ロジャーズ氏と並んで「世界三大投資家」の一人として知られています。 ジョージ・ソロスはしばしば「投機と慈善」という対称的な2つのキーワードでもって紹介されることが多いです。 具体的には ・ ポンド相場が高止まりしていることに目をつけ、強烈な英ポンドの空売りを仕掛け、10億ドル~20億ドルもの利益を得るなど、投機家としての一面を持つ ・ 慈善団体「オープンソサエティー財団」を立ち上げ、2017年には2兆円近い資金を移管。難民支援や人権問題などの活動を支援している という2つの側面がさらに人々を魅きつけている理由にほかなりません。 「イングランド銀行を潰した男」として時には残酷な手法でお金を稼ぎながらも、「国家なき政治家」として慈善活動に取り組むジョージ・ソロスの生涯や投資手法について本記事では解説していきます。

  • 世界三大投資家の一人と称される大富豪
  • 「イングランドを潰した男」と呼ばれ、冷酷かつロジカルな投資を行う
  • 目次
  • 生い立ち
  • 投資スタイルとは
  • 投資の格言
  • もっと詳しく知る方法

ジェシー・リバモア氏の生涯​

george_soros

ジョージ・ソロスはハンガリー出身のユダヤ人として父ティバダールと母エルジェーベトの次男として誕生しました。 ユダヤ人であったソロス一家は、反ユダヤ主義やファシズムから逃れるために名前を変えるなどしながら生き延びてきました。 自分の家族だけでなく、周囲の人たちも助けた父ティバダールの影響を強く受けていたといいます。 ソ連軍による虐殺を目の当たりにしたジョージ・ソロスはイギリスへと渡りロンドン・スクールオブエコノミクス(LSE)に入学。 学費も生活費も自分で稼がなければならず苦学生活を送りながら何とか大学を卒業します。 卒業後はいくつか職を転々としながら投資家になろうと決意しウォール街を目指してアメリカへと渡ります。 投資家としてのジョージソロスの活動で有名なのは、ジム・ロジャーズ氏と立ち上げたクォンタム・ファンドでのマネージャー時代でしょう。 ヘッジファンドという言葉が世に広まったのはジョージ・ソロスとジム・ロジャーズ氏が立ち上げたこのクォンタム・ファンドからだと言われています。

ジョージ・ソロス氏の投資手法と実績

image

ジョージ・ソロスの投資手法として特徴的なのは「グローバル・マクロ戦略」と「再帰性理論」です。それぞれの手法について解説していきます

グローバル・マクロ戦略

グローバル・マクロ戦略とは、マクロ経済の視点から世界経済を俯瞰し、為替やコモディティ、株式、債券などの世界中のあらゆる金融商品を売買します。 大規模な資金を運用できるヘッジファンドだけがグローバル・マクロ戦略を採ることができ、「何でもあり」の手法と言われています。 1992年のポンド危機の時もジョージ・ソロスはグローバル・マクロ戦略を採用。 資金を借り入れ、レバレッジを利かせ大量の資金を投入することでポンド安を引き起こしイングランド銀行を打ち負かしています。

再帰性理論

再帰性理論は、手法というよりジョージ・ソロスの投資哲学とでもいうべきもの。 「私は嘘つきである」という自己言及のパラドックスなどで再帰性という言葉はよく知られています。 株式投資における再帰性とは、ある会社の商品が好評で株価が上がるとさらに人々はその商品を買うことになり、企業の業績が改善し、さらに株価が上昇するというループ現象のことを指します。 この現象はコントロールが難しく、一度発生すると再帰的なループを繰り返しながらバブルを生みだします。 やがて最後には株価と実際の企業価値の乖離に耐えられなくなりバブルが弾けて終焉を迎えます。 ジョージ・ソロスは再帰的なループ現象が起こっている銘柄に目をつけ、投資を行いました。 イングランド銀行を潰したポンド売りも、この再帰性理論に則った投資手法で勝ちを納めています。

ジョージ・ソロス氏の投資の格言

ここからはジョージ・ソロス氏の格言を紹介します。

  • 慈善活動は他の人々の利益に専念するが、慈善家は主に自分自身の利益に関心を持っている。
    慈善活動は人々を助けることになっているが、それでも人々を依存させ、慈善の対象に変えることがよくある。
  • 「思い違い」は、私の世界観において重要な役割を果たしている。
  • 市場は常に不確実な状態にあり、流動的である。
    お金は明白なことを割り引いて予期しないものに賭けることによって作られる。
  • 自分が間違っていることを知っているからこそ、私は金持ちです。
  • あなたが正しいか間違っているかではなく、あなたが正しいときにどれだけのお金を稼ぎ、あなたが間違っているときにどれだけ失うかである。
 

ジョージ・ソロス氏を詳しく知る方法​

ジョージ・ソロス氏について更に深く知るための書籍を紹介します。

書籍:バフェットとソロス勝利の投資学

ソロス氏と、ウォーレン・バフェット氏の投資手法は対照的だといわれています。本書籍では、この異なる投資手法と、共通点を解説しています。

書籍:マンガでわかる ジョージ・ソロスの投資術

ソロス氏の投資術や投資哲学について、漫画でわかりやすく解説された書籍です。わかりやすく彼の人生や教訓、投資経験を知ることができます。

まとめ​

ジョージソロス氏は投資家というよりも哲学者になりたかった人物でした。 自らの思考実験を試す場として金融市場を選択し、多くの富を得ていることはよく知られているとおりです。 2020年現在、御年90となった今でもジョージ・ソロスは新型コロナウイルスへの警鐘など、世界に向けて積極的に発信し続けています。 数々の伝説を打ち立ててきたこの稀代の投資家の投資手法や哲学を、ぜひ取り入れてマーケットに参入してみることをおすすめします。

error: