最近「日本に外国人が増えると重大犯罪が増える」と危惧する人が増えたように感じます。
入管法改正や技能実習生受け入れ拡大もあり、マスコミやネットメディアで頻繁に外国人犯罪が取り上げられています。
外国人犯罪の不安感は、欧米諸国でも同様であり、経済や政治にも影響を与えるテーマです。
本記事では、実際に犯罪率が増えているのかどうかを警視庁の統計データや人口データを使って見てみます。
日本全体の犯罪数(刑法犯総数)
日本全体の犯罪数(ここでは刑法犯総数とする)の傾向を見ると、認知件数と検挙数、検挙人員は右肩下がりの状態です。
1996年から2002年まで7年連続で増加していましたが、2002年をピークに減少しています。検挙人数も減少傾向です。

外国人数の推移と犯罪数
人口が増えるに従って犯罪率も増えることが考えられます。
人口推移をみると、日本人口は少しずつ減少しているのに比べ、来日外国人数は2012年より右肩上がりです。
2018年のデータはグラフに記載していませんが、約125万人になり、2017年に比べて約15万人増です。
※来日外国人数は、警視庁の定義である「定着居住者(永住者、永住者の配偶者等及び特別永住者)、在日米軍関係者及び在留資格不明者を除いた外国人」になります。グラフの来日外国人数は法務省のデータから{永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者、特別永住者}を除いた外国人数にしております。

来日外国人の刑法犯数を見ると、ずっと減少していましたが、2012年頃より検挙人員は上戻しています。
来日外国人数が増えた時期と重なります。2005年から2015年までのデータになります。

次に来日外国人の重要犯罪・重要窃盗犯の推移を見ると、ずっと減少していましたが、2013年頃より検挙人員は上戻しています。
来日外国人数が増えた時期と重なりますが、人口増加幅に比べると犯罪数の上げ幅は少ないです。
重要犯罪の比率が増えているという捉え方もできますが、窃盗数は景気に大きく左右される可能性があります。
※重要窃盗犯罪とは警視庁の定義により{侵入盗、自動車盗、ひったくり、すり}、重要犯罪とは{殺人、強盗、放火、強制性交等、略取誘拐・人身売買、強制わいせつ}になります。

日本人口の犯罪率と、来日外国人の犯罪率の比較
最後に日本人口に対する犯罪率と来日外国人の犯罪率の比較を行います。
検挙人員率を見ると、来日外国人の方が高いことが分かります。
ただし、犯罪が不可能な幼児から高齢者の人口も日本人口には含まれています。来日外国人の幼児や高齢者の割合は少ないことが考えられます。

重要犯罪・重要窃盗罪に絞って見てみると、順位が逆転し、日本人口に対する犯罪率の方が高いことがわかりました。
来日外国人の犯罪率は2006年まで調べましたが、一番高い時でも0.125%でした。
一時滞在の外国人に比べ、日本人の方が犯罪組織に関わる率が高くなることや様々なトラブルや犯罪機会が発生することが十分に考えられます。

まとめ
公表されている刑法犯数の数字だけを見ると、日本全体としては減少しており、来日外国人の刑法犯数も過去に比べると大きくはないものの、来日外国人数の増加に伴い、ここ数年は少しずつ増加していることが示されています。
ただし来日外国人の人口増加幅に比べて、重要犯罪・重要窃盗罪の増加幅は低いことがわかりました。
また、検挙率は来日外国人の方が高いものの、重要犯罪・重要窃盗罪に絞ると、日本人口に対する犯罪率の方が高いことが確認できました。
なお、本データの期間内でバブル崩壊のような大きな経済変動は発生していないので、経済の悪化によって犯罪の内訳が大きく変わることは考えられます。
また、記事を作成するにあたり使用したデータの出典元は下記のとおりです。
なお、データや数値には打ち間違い等により、まれに誤りがある場合がございますので、あらかじめご了承ください。万が一、間違いなどがございましたら、ご一報いただけると幸いです。
【参考資料】
・警視庁「犯罪統計」:https://www.npa.go.jp/publications/statistics/sousa/statistics.html
・警視庁「国際犯罪対策に関する統計等」:https://www.npa.go.jp/publications/statistics/kokusaihanzai/index.html
・総務省統計局「日本推計人口」:https://www.stat.go.jp/data/jinsui/new.html
・法務省「在留外国人統計 統計表」:http://www.moj.go.jp/housei/toukei/toukei_ichiran_touroku.html